勝田文『ユキの冒険』


あのこにもらった音楽 愛蔵版 (花とゆめCOMICSスペシャル)

あのこにもらった音楽 愛蔵版 (花とゆめCOMICSスペシャル)

  • 作者: 勝田文
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2009/03/05
  • メディア: コミック


#買ったのは2年くらい前?


ここはあえて泣き虫メガネっ娘について語らせてもらおう。
本稿には『あのこにもらった音楽 愛蔵版』へのリンクが添えてあるが、私が語りたいのは、この漫画の本編である『あのこにもらった音楽』についてではなく、この本の巻末に添えられた短編『ユキの冒険』についてである。
#もちろん本編である『あのこにもらった音楽』も面白いです


『ユキの冒険』は、高校の美術の非常勤講師である由木(ユキ)先生が主人公の物語。
ユキには子供の頃、絵を教わっていた先生がいたのだが、その先生がユキの高校卒業を待たずに他界してしまう。そして、その先生の葬式の帰りに乗っていた電車の中で、ユキは知らない男の子から「エクスリブリス」(本の奥付等に貼る絵の描かれた蔵書票のこと)をもらってしまう。男の子は、ぽろぽろ泣いているユキを心配して声をかけたのだが、その時ユキがもらった「エクスリブリス」は、なんと亡くなった絵の先生が描いたものだった。
それから6年後。非常勤講師の仕事が入ったユキが高校に出勤すると、そこで以前「エクスリブリス」をくれた男の子に再会してしまう(男の子の方はユキに気がつかない)。内気で人見知りの激しいユキは、なんとか男の子に当時のお礼をしようと奮闘するが……


という話。


この物語のキモはユキ先生がメガネをかけていることである。この漫画を読めば、泣いているメガネっ娘ってなんてかわいいんだろうと世界の認識を改めること間違いなし。


……というのは冗談で、とても良い話です。内気なユキ先生が、男の子にお礼をしようと健気にがんばるところがいい。
あと、「うまく言えないなら 絵を描いたらいいよ / 言葉はね いろんな形に 姿をかえて 世界中を かけめぐるんだよ」というユキの絵の先生の台詞が好きです。


「エクスリブリス」(EX LIBRIS)ってこの漫画を読んで初めて知ったのだけれど、画像検索でぐぐるとたくさん素敵なものを見ることができます。ぜひぐぐってみてください。